2008年/35mm/カラー/ヴィスタ/ドルビーSR/113分 PG-12
毬谷友子・片岡愛之助(六代目)/樹木希林・佐津川愛美/國村 隼
寺田 農・坂東薪車(現・四代目市川九團次)/義太夫 浄瑠璃 竹本綾之助(四代目)・三味線 鶴澤寛也
第11回小津安二郎記念・蓼科高原映画祭特別上映(2008年10月)
第1回フィレンツェ日本映画祭特別招待(2009年11月イタリア)
第9回新京極映画祭招待上映(2010年10月京都)
お蔵出し映画祭2011 審査員特別賞受賞(広島県尾道市・福山市)
※Blu-ray/DVDにてレンタル&発売中
この愛は、本物か、偽物か。
ひとりの女の愛が、写楽を謎の存在たらしめた……
時は、寛政6(1794)年――
江戸の刑場で、薄汚れた年増女郎の処刑が行われようとしていた。
女の名は、宮城野。
罪名は、浮世絵師・東洲斎写楽殺し。
冷たい刃が女の喉にあてられた瞬間、女はその命を愛の証と捧げた男のことを想う。
写楽を手に掛けたのは、本当に宮城野なのか。
真実を知るのは、宮城野の罪を決定づけた、ただ一枚の、傑作役者絵。
その絵の名も、「宮城野」だった。
原作は、戦後を代表する劇作家・矢代静一(1927-1998)の同題の二人芝居。年増女郎・宮城野と写楽の弟子・矢太郎の心の虚実が交錯するこの対話劇を元に、「写楽の謎」というミステリーの要素を強調。ここに、まったく新たな『宮城野』を作り上げた。写楽の下で修行とは名ばかりの、その実、ニセ絵を描く日々を送る矢太郎の葛藤と、ひたむきに矢太郎を愛する宮城野。その背後に浮かぶ写楽の存在……。
宮城野を演じるのは宝塚歌劇団退団後、舞台女優として第一線で活躍する毬谷友子。矢太郎には、『半沢直樹』(13・20)や『真田丸』(16)など映画・ドラマへの出演も続く、上方歌舞伎の花形・片岡愛之助。共演は、今やスクリーンに欠かすことのできない実力派・國村隼。独特の存在感では他の追随を許さなかった故・樹木希林。『蝉しぐれ』(05)以来、女優として成長し続ける佐津川愛美。
1999年、初監督作品『夢二人形』が当時、日本人最年少でカンヌ映画祭にノミネートされ、衝撃のデビューを果たした山崎達璽。それから10年、満を持しての初長編作品『宮城野』がついに完成。一貫して追求し続ける「伝統文化の延長線上にある映画作り」をより熟成させ、歌舞伎や浮世絵などの古典の様式美と現代感覚が融合する独自の世界を生み出した。
2009年、フィレンツェ日本映画祭でのワールド・プレミアで市民を魅了し、圧倒的な支持を得た。
監督:山崎達璽 原作:矢代静一 脚本:酒井雅秋 音楽:野崎良太(Jazztronik)
美術:池谷仙克 撮影:瀬川 龍(J.S.C) 照明:原 由巳
録音:鴇田満男 整音:長谷川有里 音響効果:小川広美
編集:金子尚樹・目見田健 助監督:藤 嘉行 製作担当:大草郁夫
チーフ・プロデューサー:戸山 剛 ゼネラル・プロデューサー:荻野友大
プロデューサー:John Williams エグゼクティブ:四宮隆史
振付・所作指導:藤間貴雅 三味線指導:松永鉄駒
浮世絵アドバイザー:新藤 茂 浮世絵:歌川国政(現・石川真澄)・アダチ版画研究所
製作・配給:「宮城野」抱え主一同
本作は、戦後を代表する劇作家・矢代静一の戯曲『宮城野』を原作にしています。女郎・宮城野と写楽の弟子・矢太郎の心の虚実の交錯を描いた対話劇です。
【スタンダード版】(デジタルハイビジョン上映・77分)は、矢代静一が宮城野を「マグダラのマリア」を原像として描いた、戯曲本来のテーマ性・構成に軸を据えて仕上げました。
【ディレクターズカット版】(35mmフィルム上映・113分)は、原作にさらに、「写楽の謎」というミステリー要素を強調しながら、矢太郎という男の生きざまにも焦点を当て、宮城野と矢太郎を主人公に据えて作り上げました。