伝説の最後のフィルム世代映画作品 『宮城野』ディレクターズカット版 Blu-ray/DVD発売・DVDレンタル中!

山崎達璽監督作品 映画 『宮城野』 ディレクターズカット版 ブルーレイ/DVD発売中

作品紹介:実力派キャスト&スタッフの技の映像美に魅せられる!

毬谷友子 片岡愛之助 / 樹木希林 佐津川愛美 / 國村 隼

寺田 農 坂東薪車(現・市川九團次) / 義太夫 浄瑠璃 竹本綾之助 三味線 鶴澤寛也


戦後を代表する劇作家・矢代静一による語り芝居『宮城野』を、1999年、『夢二人形』(98)で当時、日本人最年少でカンヌ映画祭デビューを果たした監督・山崎達璽が映画化。
脚本はドラマ『絶対零度』シリーズ(10、11)、『相棒』(13)などで注目の気鋭のシナリオライター・酒井雅秋。映画『無常』(70)『陽炎座』(81)『さらば箱舟』(82)などで知られる重鎮・池谷仙克が美術を、映画『しあわせのパン』(11)『ゆずり葉の頃』(14)など幅広いジャンルを手掛けるベテラン・瀬川龍が撮影を、内外のクラブシーンで絶大な人気を誇る野崎良太(Jazztronik)が音楽を担当。
宮城野を演じるのは宝塚歌劇団退団後、舞台女優として第一線で活躍する毬谷友子。矢太郎には、映画・ドラマへの出演も続く、上方歌舞伎の花形・片岡愛之助。共演は、今やスクリーンに欠かすことのできない実力派・國村隼。独特の存在感では他の追随を許さない樹木希林。映画女優として成長を続ける佐津川愛美。
山崎が追求する「伝統文化の延長線上にある映画作り」は、クラシカルな様式美と現代性をあわせもつ新感覚の時代劇へと昇華した。

今回のディレクターズカット版のソフト化には、本作を撮影したカメラマン・瀬川龍の監修のもと、新たなテレシネマスターを作成。35ミリフィルムの質感に徹底的にこだわった。さらに、映画完成時には実現できなかった5.1chサラウンドにサウンドを完全リニューアル!

第1回フィレンツェ日本映画祭特別招待
お蔵出し映画祭2011 審査員特別賞受賞
第11回小津安二郎記念・蓼科高原映画祭特別上映
第9回新京極映画祭招待上映

1.『宮城野』のストーリー

浮世絵に隠された、美しくも儚い、残酷な愛の物語

時は江戸――
薄汚れた女郎の処刑が行われようとしている。
女の名は宮城野。罪名は東洲斎写楽殺し。その罪を決定づけたのは、宮城野が持っていた一枚の絵。写楽が描いたというその絵の名も、何の因果か、宮城野だった。
処刑されるそのときまで、宮城野が愛していたのは、矢太郎という名の若い男――

写楽のもとでの修行とは名ばかりの境遇に、鬱々とした日々を送る矢太郎。
写楽の“ニセ絵”を描かされることに。そして、その実力が、今や“師匠”を凌駕しているのに、富と名声を写楽に独り占めされていることに。
そんな矢太郎が女郎屋に来るたびに、慰めていた宮城野。すべては、愛する矢太郎のために。

年増女郎とニセ絵師の、儚い恋が終わるとき、宮城野は、矢太郎への愛に身を捧げる決心をする。
命を懸けた愛によって、ふたりの間に残されたのは……ただ一枚の傑作役者絵「宮城野」。

わずか、十カ月の間に百数十点もの絵を残して、忽然と姿を消した、浮世絵師・東洲斎写楽。実在の人物でありながら、その謎は今なお、闇に包まれている。

『宮城野』予告編動画を見る

2. 『宮城野』という映画がたどったストーリー

映画界には、数奇な運命をたどった作品は珍しくないが、その裏側はあまり知られてはいない。どの作品も、誰もが順風満帆な未来を歩むことを願って企画される。

2004年8月6日、毬谷友子が初役で舞台を演じたときに始動した『宮城野』映画化の構想。このとき、『宮城野』がのちに数奇な運命をたどる作品になろうとは、誰も思っていなかった。

監督の備忘録によると、クランクインしたのは2007年11月1日。もっとも困難であった資金集めをはじめ、俳優陣の出演交渉・スケジュール調整、スタッフの招集に約3年もの歳月を要したのだ。

撮影期間はわずか1ヶ月。俳優もスタッフも、持ちうる技術を最高潮に高めての短期決戦だった。短期決戦となった理由のひとつに、歌舞伎俳優である片岡愛之助のスケジュールの確保の難しさがあった。愛之助の出演シーンの撮影は舞台が終わってからの深夜しかない。11月29日のクランクアップから編集作業に入り、完成したのは2008年3月28日だった。

時代がデジタル化へと進む中、100年以上の歴史を持つアナログな技法でフィルム撮影された映画が作られたのは、2016年の今、振り返ればこの頃が最終世代だった。

足かけ5年で映画化は実現したものの、今度は公開が決まらないという壁にぶつかることとなる。「作品の内容が暗く、華やかさがない」「原作が人気漫画やベストセラー小説ではない」「アート性が強い上に時代劇」「ストーリーが複雑で上映時間が長い」……。 『宮城野』の公開が決まらない理由として挙げられたものは、まさに昨今の映画業界のトレンドを物語っている。そして、これらが本作の“魅力”でもあるというジレンマに苦しんだ。

なかなか公開が決まらないまま、時が過ぎていった。
公開実現に向け試行錯誤を重ねた結果、原作に忠実に、宮城野という女郎が自己犠牲を謳い上げる、シンプルな展開に編集した<スタンダード版>が各地でデジタル上映されることになり、追ってDVD化された。

一方、<ディレクターズカット版>は広く公開される機会は得られないものの、内外の映画祭などでは高い評価を得ていた。
とくに、印象的だったのは2009年11月28日、イタリア・フィレンツエでのワールドプレミアだ。観客はほとんどがイタリア人。当然のことながら映写技師もイタリア人。イタリア語の字幕をつけて上映されたスクリーンに人々は釘付けになった。イタリアでは吹替による上映が主流のため、彼らは字幕に慣れていない。しかも、このときの上映は入場無料だったことに加え、イタリアの慣習により中盤で休憩が挟まれた。にもかかわらず途中退席する人もなく、エンドロールと同時にわれんばかりの拍手が沸き起こったのだ。

映画や歌舞伎、アートのファン層を中心に、<ディレクターズカット版>に触れた人々から高い評価を得つつも、監督のフィルム上映へのこだわりが強く上映の機会は限られていった。その後、ソフト化もされることなく、お蔵入りとなった<ディレクターズカット版>の存在はファンの間で伝説と化していった。

3. 映画監督・山崎達璽のストーリー

1999年、『夢二人形』で日本人最年少でカンヌ映画祭デビューを果たした、映画監督・山崎達璽。彼の「伝統文化の延長線上にある映画」の世界観は多くの人々を魅了した。しかし、彼が生み出した『宮城野』は数奇な運命をたどることとなり、監督もまた自身の作品の運命に翻弄されることとなる。

映画であれ、本であれ、音楽であれ「完成させること」は通過点に過ぎない。たとえ作品そのものが高評価を得たとしても、その先には「商業的に結果を出す」ことが求められる。つまり、「売れるかどうか」を問われるのだ。

商業的な意味での成功には、時代や景気がもたらす影響も少なくない。『宮城野』について言うならば「時期が悪かった」という側面が否めない。加えて、急速に進んだ映画業界のデジタル化やリーマンショック、東日本大震災などを乗り切る“体力”がなかった。「作品を完成させること」に全力投球したあまり、余力を持ち合わせていなかったのだ。フィルム上映への固執が選択肢を狭め、加えて「複雑で、先鋭的で示唆に富んだ難解な物語」と、この当時の状況では商業的に難しい作品だというイメージが定着してしまったのだ。

一方で、伝説と化したディレクターズカット版のソフト化を望む声も多くあがった。「複雑で、先鋭的で示唆に富んだ難解な物語」であるがゆえに、観た人に「その時々によって感じ方が違うのだろうな」と想像させ、「また違うタイミングで観てみたい」という思いを駆り立てるのだろう。

完成から8年、山崎もまた厳しい時を過ごした。けれど、その歳月が時間をかけて、丁寧に、妥協することなく作り上げた映画『宮城野<ディレクターズカット版>』が、いつまでも鮮度を失うことのない秀作であることを証明したのだ。

本作の謎の鍵を握る 二枚の浮世絵「宮城野」

若き絵師・歌川国政こと石川真澄
本作のために描きおろした美人絵『宮城野』

東洲斎写楽の役者絵『宮城野』
©アダチ版画研究所

『宮城野<ディレクターズカット版>』 Blu-ray & DVD

2008年/カラー/ビスタサイズ/113分/PG-12(劇場公開時)

Blu-ray:5,800円(税抜)/LCBD52002
リニアPCM 5.1chサラウンド ・ リニアPCM 2.0ステレオ

DVD: 3,800円(税抜)/LCDV71385
ドルビーデジタル5.1chサラウンド/片面2層
※DVDのみレンタル中

発売元・販売元:株式会社エルディ

注目の2つのおたのしみ特典
脚本を手掛けた酒井雅秋 監修による「謎解きチャプター」

製品の仕様・デザインなどは予告なく変更になる可能性があります。

宮城野<ディレクターズカット版>[Blu-ray]
宮城野<ディレクターズカット版>[DVD]
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・宮城野<スタンダード版>
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<CD>
・Jazztronik Repro
Jazztronik Repro
・Jazztronik Cinematic
Jazztronik Cinematic

<本編制作スタッフ>

監督:山崎達璽  原作:矢代静一  脚本:酒井雅秋  音楽:野崎良太(Jazztronik)
美術:池谷仙克  撮影:瀬川 龍(J.S.C)  照明:原 由巳
録音:鴇田満男  整音:長谷川有里  音響効果:小川広美  
編集:金子尚樹・目見田健  助監督:藤 嘉行  製作担当:大草郁夫
チーフ・プロデューサー:戸山 剛  ゼネラル・プロデューサー:荻野友大
プロデューサー:John Williams  エグゼクティブ:四宮隆史

振付・所作指導:藤間貴雅  三味線指導:松永鉄駒  
浮世絵アドバイザー:新藤 茂  浮世絵:歌川国政(六代目)・アダチ版画研究所

製作・配給:「宮城野」抱え主一同

<Blu-ray/DVD制作スタッフ>

テレシネ:亀井嘉郎 平川裕美子
レストア:高野 真 坂元千夏
アートワーク:フルタヨウスケ
Webサイト制作:高野 真
予告編制作:竹内亮太
ブランディング・ライター:栗原貴子

協力:
ソニーPCL株式会社
UTB映像アカデミー
株式会社エクサインターナショナル
日本ブイ・テイ・アール株式会社

木村琴乃 黒部尊仁
白尾弥重子 野村孝保

企画・制作:山崎達璽事務所